邦題は、愛のカフェ・オーレでした

私の所有するアルバムからランダム再生で選ばれた音楽を紹介するコーナーです。さて、今回ランダムで選曲されたのは・・・

パット・メセニー・グループ Pat Metheny Group|OFFRAMP

パット・メセニー大好きです。その中でも特にパット・メセニー・グループの作品は私にとって宝物です。

初めて彼らの曲に出会ったのは、NHK-FMの番組「クロスオーバー・イレブン」でした。このアルバムの1曲目である「Barcarole(舟歌)」が流れた時の衝撃は今でも覚えています。ナナ・ヴァスコンセロスのエスニックなパーカッションとパット・メセニーのギターシンセの音がとても印象的で、月明かりのもとでジャングルの中に佇んでいるような音楽でした。

放送時は、1曲目から3曲目まで続けて流されて、2曲目の「Are You Going With Me?」で完全に打ちのめされました。割とシンプルなリズムで曲が始まり徐々に盛り上がっていきます。ライル・メイズのシンセのメロディが美しく、そこにパットのギターが絡みついて、ギターシンセの音色が変わっていくたびに魅惑的なアドリブの渦に巻き込まれていきます。しかも、そのアドリブが官能的で、なんとも美しい曲であります。

3曲目は「Au Lait」です。邦題はここから来たんでしょうね。この曲もこれまでの流れをくむマイナー調、しかも半音で動くメロディが不安な感じを抱かせます。ただ、曲全体はフランスっぽい感じがするんですよね。ライル・メイズのピアノがきれいです。

アナログだとここまでがA面で、この流れは一度聴きだすと本当に止められないほど魅力的なのです。かわってB面(CDだと4曲目から)は、バラエティにとんだ曲調です。特に、5曲目の「Offramp」がですね。これ、アルバムのタイトル曲ですよね。いいんですかね。

このアルバムがきっかけで、パット・メセニーのアルバムを多く聴くようになって、今ならこの曲も「ああ、そう来ました」となるのですが、初めてこのアルバムを通して聞いた時は、5曲目は無かったことにしたくなりましたね。でも、この混沌とした曲を聞いた後だからこそ、6曲目の「James」のイントロが流れた瞬間の解き放たれたような至福の時が得られるわけですけど。

このアルバム(1982年)を含め、ECMからリリースされているものでは、ファーストアルバムの「想い出のサン・ロレンツォ」(1978年)と「First Circle」(1984年)が手元にあります。 「想い出のサン・ロレンツォ」は、全般にさわやかな風が吹き抜けるようなアルバムで、「 First Circle 」は、1曲目が「そう来たか」となる楽しい曲ですが、その後は、まさにパットメセニー・グループ!というサウンドの嵐です。このアルバムを最期にECMを離れ Geffinレーベルの名作群に突入です。

Geffin での私の一押しは「Letter From Home」(1989年)ですね。とにかく1曲目の「Have You Heard」が大好きでして、コンサートでも1曲目に演奏されて狂喜したことを覚えています。まず、メロディが印象的ですね。ワンフレーズが長いのにキャッチーなんですよ。そして、リズムが複雑。はっきり言って何拍子かわかりません。
それなのに、この心地よさは何なんでしょう!

そして、「Still Life (Talking)」(1987年)も忘れることはできません。前作の「First Circle」がさらに進化した作品で、これもとてつもない傑作です。

さて、パット・メセニーを語る上で外せない「名曲中の名曲」と私が思っている曲を紹介して終わりたいと思います。1981年にライルメイズと共作した「 As Falls Wichita, so Falls Wichita Falls 」に収録されている「 September Fifteenth 」。パットのアコースティック・ギターとライル・メイズのピアノによるとっても美しい曲です。この曲は、ビル・エヴァンスに捧げられた曲なんですよね。