St.GIGA|12:60を捨てた放送局

St.GIGAよ、帰ってきておくれ!

かつて私たちは自然の時間とともに生きていました。
日の出と日の入り、月の満ち欠け、潮の満ち干、季節の移り変わり…。
人もまた、水の惑星、地球を構成する自然の一部です。
しかし、人は12:60(時間:分)という人工的な時間のフォーマットを作ってしまい自然のリズムから外れてしまったのです。

自然のリズムにシンクロする放送局

St.GIGAという放送局があったのをご存知ですか?。
WOWOWの独立音声チャンネルを使った音楽放送局でした。

一般的に放送局は毎正時になれば、番組が替わり、時報が鳴り、ジングルが流れ・・・、というように、12:60(時間:分)のフォーマットで構成されています。

ところが、St.GIGAは12:60というフォーマットを捨て1日を1フォーマットととらえ、、「音の潮流」と題して、サウンドデザイナー(DJ)が、東京湾の潮の満ち引き(月と地球の動き)にシンクロして自らの感性で選曲し、放送していたのです。聴取料を払って聞く放送なので、もちろんCMはありません。

その素晴らしさは、どんな言葉を使っても言い表せないものでした。
クリスマスには渋すぎるクリスマスソングの数々、湾岸戦争の時はレクイエムが流されました。渋いJAZZの後に、デープなハウスミュージック、そしてラフマニノフ、と音楽が波のようにうねり、それはそれは見事な選曲でした。

そして、なによりも大切な事は、そのうねりが12:60のフォーマットで分断される事が無く、聴く人が時間と音の波に心地よく漂う事が出来たことなのです。
無駄なDJのお喋りも無く、音楽と、「音楽が降りてくる。空から星から」
「月に導かれて水が満ちてきます」といった言葉、そして自然音が見事に融合していました。

私は、こんな放送局が日本に出来た事がとても嬉しかったし、ほんとに大好きでした。

特に「13の月の暦」に何かを感じる人には、その頃の放送を聴いてみたいと思う方も多くいらしゃるでしょう。

経営の悪化

ところが、
この斬新なコンセプトは大衆には受け入れられず経営悪化のため、1993年に悪夢の番組改変が行なわれたのです。新譜CDをノーカットで放送する番組がはじまってしまい、「音の潮流」は寸断されました。

その後の改変(改悪)の度に、当初のコンセプトは影をひそめ、その後は12:60のフォーマットで構成された、普通の放送局となってしまったのです。

放送休止

現在、St.GIGAは放送業務を行っていません。
したがって、「音の潮流」復活はほぼ絶望的な状況です。音源のDATテープも競売に出されたようです。本当に、残念です。

St. GIGA開局時のプログラミング・コンセプト

TIME & TIDE

かつて私たちは自然の時間とともに生きていました。日の出と日の入り、月の満ち欠け、潮の満ち干、季節の移り変わり…。人もまた、水の惑星、地球を構成する自然の一部です。

そして、私たちのからだの中にも、他の生命と同じように、こうした自然の運行に呼応して移り変わる自然の時間が流れています。そうした時間は、私たちを取り巻く、水、大気、大地、生命、天体といった大いなる自然と優しく調和して流れているはずです。日の出、新月、満月、満潮時、春から夏にかけての感情の高揚。日没、上弦、下弦の月、干潮時、秋から冬にかけての感情の沈静。こうした私たちの体の中を流れる自然に耳を澄まし、自然の時間の中に自らを解き放つとき、はじめて私たちは真に安らぎ充足することができるのではないでしょうか。

St. GIGAが送る「音の潮流」は、こうした自然の時間の流れのなかに、自然に湧き上る人間の感情を浮かび上らせ、地球の美しい生命の輝きをちりばめていくことによって創り出されます。時間とは、まず、天体の運動が作り出す物です。そして生命はそのうえにそれぞれのリズムをつけ、メロディーを奏でていくのです。ですからSt. GIGAを導くのは、グリニッジ時間ではありません。自然の時間、太陽と月と地球の運動が、St. GIGAに時を告げるのです。

St. GIGAは、さまざまな文明の時間から解き放たれ、大いなる海の時間に導かれて「音の潮流」を送ります。St. GIGAの「音の潮流」に身を任せるとき、私たちはナチュラルな感情の流れの底に、私たちを包み込んでいる大いなる自然を聴くことでしょう。