「私を構成するn枚」と題して、自分が影響を受けたアーティストのアルバムを紹介していますが、今回はその番外編です。
1990年代後半は、クラブ系のダンスミュージックをよく聴いていました。その一連の音楽体験の中でも圧倒的な存在感を持っている作品をいくつか紹介します。このころは、UKの音楽が特に面白かった時代です。
Soul II Soul | Keep on Movin’ (1989)
いわゆるダンスミュージックではないけれど、この曲との出会いは衝撃でしたね。跳ねたハイハットにタメのあるビートのドラムサウンド、そこにピアノのコードのバッキングが絡んだ、なんとも渋いグルーブで、今までに無いサウンドでした。
R&Bのリズムがさらに進化した感じで、「グラウンド・ビート」と呼ばれていました。
キャロン・ウィーラーのボーカルも渋い曲調にマッチしていて、商業的にもかなりヒットしましたね。
今思えばこの曲が後のクラブ系ダンスミュージックにハマっていくキッカケだったかもしれません。
その後、グラウンドビートは広がり、グレゴリオ聖歌と組み合わせたエニグマのアルバム「MCMXC a.D.」が登場します。
The Ambient Collection | The Art of Noise (1990)
グラウンド・ビートとは違ったところで、ゆるいビート感のあるアンビエントという潮流があり、The orbの「The Orb’s Adventures Beyond The Ultraworld」やThe KLFの「CHILL OUT」などが忘れられない作品です。
そんな中で、とびっきりのアルバムは?と言われれば、The Art of Noise(アート・オブ・ノイズ)の「The Ambient Collection」ですね。今でも年に3回ぐらいは聴きます。グルーブ良し、メロディ良し、アレンジ良し、の曲がアルバム通して聴ける、こんなアルバムはなかなか無いかもしれません。
Chante Moore | This Time (The Bomb Mix) (1995)
クラブサウンドと言えば、ハウスミュージックを忘れてはいけません。こちらはアメリカの流れですね。
ハウスの中でも特に歌もの中心のガラージ・ハウスが好きでした。Nuyorican soulの「Runaway」とかラリー・レヴァンがミックスした「Ain’t No Mountain High Enough」などなど。
そして、ハウスといえばFrankie Knuckles(フランキー・ナックルズ)ですね。
彼の数あるミックスの中でも、Chante Moore(シャンテムーア)の「This Time (The Bomb Mix)」は絶品です。今この記事を書きながら頭の中で曲が鳴りますが、それだけでも鳥肌が立つぐらいです。
ゴージャスなピアノソロのオープニングから始まり、そこに4つ打ちのビートが鳴りだし一気にエンディングまで、フランキー・ナックルズのミックス・マジックの世界が堪能できます。
10分の長尺ですが、後半にかけてジワジワと盛り上がってきてたまらんです。さらに、シャンテムーアの伸びのあるボーカルが気持ちいいんですよ。まさに極楽。
私としては、ミックス版が原曲だ、と言ってもいいぐらい好きです。
AdamF | Circles (1997)
そして、またまたUKに。
90年代後半にブレイクビーツの進化系としてDrum ‘n’ Bass(ドラムンベース)が誕生します。BPM160以上のブレイクビーツにTR-808のバスドラをサンプリングした音をベースに使った特徴的なサウンドです。今聴くと懐かしいって感じですが、当時は21世紀を感じさせるサウンドに思ったものです。
さて、Drum ‘n’ Bassで私が選ぶ珠玉の1曲が、AdamFの 「Circles」です。高速のブレイクビーツが複雑に絡み合い、太いベースがメロディラインのように主張しつつも全体を引き締め、そこにBob Jamesの「Westchester Lady」からサンプリングしたフレーズが効果的に散りばめられています。
7分という時間を感じさせない見事な展開でクラブミュージックの枠組みを超える作品だと思っています。
spotifyでは、後半がカットされたものしか聞けないのが残念。